DDBJ スタッフコラム2 「自滅する生物情報学者?」

DDBJ メールマガジン No.13(2004年4月2日発行)

世の中には生物学の研究者に有用なデータベースが無数に用意されている。
DDBJ/EMBL/GenBank などのような,いわゆる1次データベースはもとより,それ等の情報を加工・補強した2次,3次データベースなどの大多数がインターネットを介して無料で自由に,しかも簡単に使えるようになっている。また,整理された情報の増大に伴って,それらを解析するソフトウェアも広く普及してきた。
たとえば,EMBOSSCCP4 などでは,核酸やタンパク質の配列および構造を解析するためのソフトが収集・配付されている。これらの使い勝手の良いデータベースやソフトの発展は(広い意味での)生物情報学者(bioinformaticist というらしい)の努力の成果である。

ところで,これほどまでに環境が整ってくると,出来合いのソフトを入手して,出来合いのデータベースをいくつか調べ,得られたデータを「ひとひねり」すると,ちょっとした「研究成果」が得られるようになる(実際にそのような論文はちらほら認められる)。
しかもそのようなスタイルの研究は,バイオインフォマティクスの専門家でなくても可能である。実際にはスクリプト言語などを覚えて,ちょっとしたプログラムを書く必要があるが,bioperlbioruby などを利用すれば,すでに用意されているライブラリを「カットペースト」でつなぎ合わせて大抵のことはできてしまうだろう。

ここに一つの疑問が生まれる。生物情報学の研究者は,頑張ればがんばるほど,彼らが作ったデータベースやソフトを使ったオリジナルの研究ができなくなるのではないか? 斯くして,研究者としての生物情報学者は消えてゆく・・・(?)

いやいや,それは早計だ。
現在のところ,ゲノムや遺伝子発現データなどの量に圧到され,それらを整理・分類すれば(小さいかもしれないが)新しい発見がいくらでもできるように思われる。しかし,そのような状況が一段落した後こそ,研究者あるいは理論家としての生物情報学者,さらには 生物情報学という分野そのものの真価が問われるときだと思う。もっとも,そのとき「生物情報学」という呼称が存在するかどうかは定かではないが・・・

金城玲
国立遺伝学研究所 大量遺伝情報研究室 助手

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