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■もう半年あと半年の水無月か・・・
隔月公開の DDBJ メールマガジン第14号 web 版です。今回は新しく申込んで下さった
方が多くいらっしゃいます。できるだけお役に立つ内容をお届けできるように努力し
て参りますので,どうぞよろしくお願い申し上げます。メールマガジンに関するご質
問やご意見がありましたら ddbjmag@ddbj.nig.ac.jp までどうぞ。
DDBJ では全国各地で「DDBJing 講習会」を開催しています。DDBJing 講習会は,塩基
配列の登録方法や DDBJ が提供しているデータベース検索・解析サービスをユーザの
方々により深く理解して利用していただく助けになることを目指しています。
7月7日-8日に静岡県三島市の国立遺伝学研究所での開催が決定しましたのでご案内しま
す。参加受付は6月7日から開始します。詳細は DDBJing 講習会サイトをご覧下さい。
皆様のご参加をお待ちしています!
■日時:2004年7月7日(水)14時〜17時,7月8日(木)10時〜17時
■場所:国立遺伝学研究所 ゲストハウス2階セミナー室(静岡県三島市)
■主催:国立遺伝学研究所 生命情報・DDBJ 研究センター 日本 DNA データバンク
■対象:DDBJ を利用される方をどなたでも歓迎します(定員30名,参加費無料)
今回は実習があります。ネットワークの接続口(LAN カードなど)のある
PC をご持参下さい。
■H-Invitational データベースの公開
H-Invitational (Human Full-length cDNA Annotation Invitational) はヒト完全長
cDNA (complementaryDNA) に対しさまざまなバイオインフォマティクス解析を実行し,
機能アノテーションを付与した国際的プロジェクトで,国立遺伝学研究所(現:大学共
同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所)生命情報・DDBJ研究セ
ンター(CIB-DDBJ),独立行政法人産業技術総合研究所 生物情報解析研究センター
(AIST/JBIRC),社団法人バイオ産業情報化コンソーシアム(JBIC)によって共同主催
されてきました。
CIB-DDBJ では H-Invitational で解析されたヒト完全長 cDNA データセットの機能ア
ノテーションの成果を公開するためのデータベース,H-Invitational Database
CIB-DDBJ Flat File Server を構築しました。このデータベースでは H-Invitational
で付与された機能アノテーションを国際塩基配列データベースの形式に準拠した形式の
フラットファイルで表示しています(DDBJ 版フラットファイル)。さらに,本サイト
では cDNA がマップされたヒトゲノム上の Locus 情報も提供しています。すべてのデ
ータに対して,DDBJ 版フラットファイルだけでなく,JBIRC によって作成されたフラ
ットファイル(JBIRC 版フラットファイル)および XML ファイルも提供しています。
これらのデータは FTP サイトから取得することができます。
また,JBIRC で公開されている H-Invitational Database (H-InvDB) のミラーサイト
も合わせてCIB-DDBJから公開しています。
- H-Invitational Database CIB-DDBJ Flat File Server
- ミラーリング H-InvDB
- 論文情報
Imanishi T, et al. (2004) Integrative Annotation of 21,037 Human
Genes Validated by Full-Length cDNA Clones. PLoS BIOLOGY. 2(6)
CIB/DDBJ, EBI/EMBL, NCBI/GenBank は,国際塩基配列データベース共同構築の運営・
推進をはかるために,国際実務者会議と国際諮問委員会を年1回開催しています。今
年は EBI のあるヒンクストンで第17回国際実務者会議(5月17日-19日)と,第15回
国際諮問委員会(5月20日から21日)が開催されました。DDBJ からは国際実務者会議
に5名の,国際諮問委員会に4名のスタッフが出席しました。
国際実務者会議では,DDBJ, EMBL, GenBank 三極の活動の年次報告が行なわれた後,国
際塩基配列データベース運用上の実務的な問題を検討しました。会議で決定した主な事
項は次の通りです。
動向
・一昨年の会議を受けて,1エントリを350kb 以下にするという,塩基配列長の制限
を撤廃することを検討して来ましたが,特に大きな問題は予想されないと結論し,
これを進めることで合意しました。この制限の廃止に伴い,過去に長さを理由に分
割したエントリは,適宜,結合する方針です。
・環境サンプル由来の塩基配列の登録が,近年,急増しています。これに対応すべく,
ENV (環境サンプル)division を新設し,これまで主として BCT(バクテリア)
division に含まれていた環境サンプル由来エントリを明示的に区別します。
・一昨年より TPA の登録を受け付けていますが,引用配列とTPA 登録配列の違いを
どの程度許容するかという点を明確に出来ていませんでした。この違いが整列され
る範囲の 10% 未満に収まることを目安とする方向で合意しました。
・昨年の決定を受けて,DDBJ, EMBL, GenBank において共通の XML フォーマットを
提供する準備を進めておりましたが,共通化した DTD と XML フォーマットのテス
ト運用を内部的に進める予定です。
・gap を含む配列に関して,これまで恣意的な個数の連続した 'n' を挿入した上で,
配列を受け付けていました。今後は gap の長さが不明の場合は 100個の連続した
'n' を,長さの推定が為されている場合はその数分の連続した n を,対応する
location に挿入することを規則とします。
Feature に関する決定
・source feature の qualifier の一部,/variety, /cultivar などには value が
不適切なエントリが多数存在していますので,修正していく予定です。
・環境サンプル由来登録の増加に関連し,採集地情報を記載する /country qualifier
の記載の在り方について再検討しています。
・/bound_moiety を使用可能な feature は,これまで protein_bind のみでしたが,
今後は,promoter, enhancer, oriT, misc_bind にも使用可能とする予定です。
・一昨年,特定ゲノムプロジェクト用に feature 継承用の ID 情報を記述するため
の /locus_tag qualifier を追加しましたが,履歴管理のために /old_locus_tag
qualifier を更に追加する予定です。
・配列比較に基づいて記載される一群の feature (variation, misc_difference,
conflict, unsure, old_sequence) について比較対象の配列を記載するための
/compare qualifier (/compare=[accession].[version] )を追加する予定です。
その他
・Feature,特に CDS の根拠が実験的であるか,相同性に基づく推定か,単なる読み
枠の予測によるか,などを示すことが利用者から求められております。これに関連
して,/evidence qualifier の規定値の追加,再分類と再定義の検討を進めていま
す。
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| 会議参加者集合写真 | 会議風景 |
5月19-21日に東京ビッグサイトで第4回国際バイオ EXPO(リードエグジビションジャ
パン株式会社主催)が開催されました。DDBJ は大学・国公立研究所による研究成果発
表フォーラムで金城玲助手(大量遺伝情報研究室)が「日本DNAデータバンク(DDBJ)の
活動紹介」という発表を行なったほか,ポスターセッションに参加しました。
このメールマガジン上でもご案内致しました国立遺伝学研究所と西日本電信電話株式会
社(NTT西日本)による「グリッド技術」を用いて,一般家庭のパソコンの余剰時間
をヒトゲノムなどの生命情報解析研究に活用するための共同実験が終了しました。
およそ3ヶ月にわたる実験では,多数の皆様のご協力をいただきありがとうございまし
た。現在,生命科学,情報技術の両面から成果のまとめに入っております。今後,いろ
いろな形でまとめた成果を発表していこうと計画しております。
ご協力ありがとうございました。
今後の展開や成果報告に関しては随時お知らせできればと思います。
ご質問などがありましたら grid-trial@ddbj.nig.ac.jp へご連絡下さい。
科学を促す空間の力
大久保 公策
国立遺伝学研究所 遺伝子発現解析研究室 教授
つい先日UKでケンブリッジ大学の古いカレッジをいくつか見て歩く機会を得た。殺風
景な狭い路地を圧迫する薄汚い石壁にあいた木作りの粗末な扉。その中に隠されたキャ
ンパスを見たときの衝撃は危機感ともいえるものであった。直感的に科学を促す力を感
じたのである。これまでに同じ経験をした先生方はこの経験をどのように整理したのだ
ろうか?「日本の大学ももっと美しく庭園は芝生で壁で囲まれて市民を拒絶するような
威圧を見せるべきだ」というような安直な考えや「ここで研究したい。この人たちの仲
間に入れてもらって同じ恩恵にあずかって勝負したい。」というようなナイーブな気持
ちには整理できなかった。ただいわくいいがたい強い危機感のようなものを生じた。こ
の危機感はいったい何なのか?
手入れの行き届いた芝生を囲むように明らかに100年以上経年しているレンガ造りの寄
宿舎らしき建物がある。その美しさは「人間が作れる最も美しいもの」の類であると思
う。私は絵画や芸術に造詣はないが多少の名画なら見たことがある。建物ならドイツの
城もフランスの宮殿もバンクーバーのビルゲイツ邸も遠巻きに見たことがある。しかし
衝撃といえるような感動は受けたことがない。何がこんなに美しく見せるのかとしばし
その特徴を分析した。細部の多さ,不均一だが類似した色彩の不規則な繰り返し,だい
たいまっすぐな手書きの線のような輪郭である。よく観察するとどのレンガも形大きさ
色が違っておりさらに改修の年代によってと思われる大きな色調の変化がある。それが
何百年も繰り返された結果いわく言いがたい複雑さをもっている。明らかに作った当初
より美的になっているであろう。どうしてこんなすすけた褐色の不細工な建物がこんな
に綺麗なのか?直感的に表現すればそれは生き物のように美しい。さて生き物のような
美しさとは何かと考えると,「複雑なものに感じる好感」乱雑な複雑ではなく精緻な複
雑,機能的であるが機械的でないといえるかもしれない。自然の緑の美しさも小さな葉
っぱの表裏が無数に集まったニュアンスの美しさで地面の美しさは細かい隆起と多色の
石の作り出す複雑な模様の美しさでなかろうか。この複雑さに対する嗜好は明らかに経
験で生まれ年とともに熟成される。味覚を例にとると明らかであろう。チーズ 燻製な
どの昔はむしろまずいと感じた臭みや苦味など 甘い 辛い 旨い では割り切れない
ものが老いるとともに好きになる。服地では三つ杢といわれる同系統3色使いの織物が
きれいで糸の太さはホームスパンツイードのように不均一なほうが好ましく思う。成熟
した人間の感覚に訴える美しさが複雑さの美しさなのであろう。花一輪や身近の自然に
年をとるほどに美しさを感じることもよく知られた事実である。脳がたいていのものを
経験して退屈しているときに細部にも関心を向けると認識しつくせないと解って喜ぶ感
じ とでも表現すればよいだろうか。深い とか 飽きない とか 渋い とか日本語
にはこの感じを表そうとする言葉は多い。これらの複雑な美しさは人工物とはいえ食物
の場合は明らかに微生物の力をかりている。服地の場合にも自然色素の複雑なニュアン
スを借りたうえで手作業によって紡ぎだされる。建物も素材は土でありそれを手作業で
積み上げ修復を繰り返すことで美しさが出ていることに気づいた。天然素材と手作業と
手間。つまりはケンブリッジの建物にはマニュファクチュアの美しさがあるのかと納得
した。
ただし美しい服地には感動するが危機感は抱かない。危機感を生じさせたのはこれが大
学であり,その空気がただならぬからである。この自然と手作業の美しさが作り出す空
間は知的な活動を刺激するように感じた。セントジョン大の庭でりんごが落ちれば自分
にも引力が見えるような気がした。この環境の力は脳波でも測ればすぐにわかるような
気がした。そういえば日本でこの種の環境が与えられているのは寺である。巨大な寺に
は木造の細部に富んだ建物があり非常に手入れの行き届いた庭をもっている。禅寺は日
本人の作り出した思索のための環境であったのか。日本の大学に思いを馳せたとたん,
全くこの科学を促す機能が欠落していることに暗澹たる気持ちになる。この劣等感が危
機感の原因かもしれない。これまで経験した大学や研究所は視覚的にも聴覚的にも人工
的な雑音に満ちておりそこに入るとむしろ気がめいる集中できないような「たこ部屋」
でしかなかった。形は何とか西洋型をまねているが美的でなく成熟していない。雑多な
様式が場当たり予算で積み上げられたテーマパークのようである。すると自分たちのし
ている科学は山谷の多い日本に無理やり英国地形を作り出してやっているゴルフのよう
なものなのか?やたらと開発に予算がかかり利権がつき物で,大型開発には議員さんが
絡む。これは国民のゴルフ場に対するイメージだと思うが,研究者がこれを聞くと他人
事には聞こえないのではなかろうか?地理的必然にかけたゴルフは資本のゲームではあ
るがスポーツとしては永遠に日本では熟成されない運命にある。このまま科学する環境
について深い理解を形成できずじまいに終われば日本の科学もゴルフと同じ運命かもし
れない。 (続く)
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| * この写真はイメージです。英国 Cambridge で DDBJ 菅原教授が撮影しました。 |
ddbjmag@ddbj.nig.ac.jp
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