日本の理化学研究所を中心としたマウスのゲノムおよびトランスクリプトームを網羅的に研究している国際コンソーシウム (FANTOM Consortium) はヒトおよびマウス転写物 (transcripts) に関する統合的な解析の成果を9月2日付けの Science に発表しました (Science. 2005 Sep;309:1559-63., Science. 2005 Sep;309:1564-66.)。
生命活動の維持に不可欠なタンパク質をコードする転写物(遺伝子)のみならず,タンパク質を作らない転写物 (non-protein-coding RNA: ncRNA) がマウスおよびヒトにおいて多数見いだされました。
これら多数の ncRNA がタンパク質をコードする転写物の発現を調節することが示唆され,哺乳動物における遺伝子の発現調節機構に関して重要な知見が得られました。
FANTOM Consortium には,CIB-DDBJ より五條堀孝教授(生命情報・DDBJ 研究センター長),池尾一穂助教授他が参加しており,上記論文にも名前が掲載されています。 また,上記の論文には ゲノムネットワークプロジェクト の成果の一部が含まれています。
この論文に使用された約200万の EST (expressed sequence tag),約11万の HTC (high throughput cDNA sequence) および約880万の MGA (Mass sequence for genome annotation) エントリの配列情報は,国際塩基配列データベースに登録・公開されており,DDBJの検索ツール getentry でデータを閲覧・取得することができます。
参考
理化学研究所プレスリリース
FANTOM Database
配列のアクセッション番号リスト;理化学研究所ゲノム科学総合研究センター遺伝子構造・機能研究グループ