カニクイザル脳の完全長 cDNA に関する論文が PLOS Biology に発表されました。
この論文は,旧世界ザルの一種であるカニクイザルの脳のトランスクリプトームの完全長 cDNA 配列決定を行い,ヒト,チンパンジー,カニクイザル,マウスの脳発現遺伝子の進化の速度比較を行ったものです。 論文は,日本,アメリカ,台湾の研究者の共同研究の成果に基づいたもので,生命情報・DDBJ 研究センター (CIB-DDBJ) センター長の五條堀孝が著者の一人となっています。脳は,哺乳動物の様々な器官の中で最も複雑な仕組みを有し,脳機能の遺伝学的解明は近年注目を浴びている分野です。 ヒトを含む霊長類の脳は急速な進化を遂げたにもかかわらず、その脳発現遺伝子の進化は緩やかに進行したとされ,さらに種によって進化の速度は異なります。 ヒト,霊長類,マウスの脳遺伝子を比較することで、その理由の解明の糸口となることが期待されます。
論文中に掲載されているカニクイザル脳 cDNA遺伝子配列は,アクセッション番号 AB170063-AB174733 として、DDBJ から DDBJ/EMBL/GenBank 国際塩基配列データベースに登録・公開されています。 データは anonymous FTP 一括取得,または getentry で取得することができます。