この論文は,旧世界ザルの一種であるカニクイザルの脳のトランスクリプトームの完全長 cDNA 配列決定を行い,ヒト,チンパンジー,カニクイザル,マウスの脳発現遺伝子の進化の速度比較を行ったものです。 論文は,日本,アメリカ,台湾の研究者の共同研究の成果に基づいたもので,生命情報・DDBJ 研究センター (CIB-DDBJ) センター長の五條堀孝が著者の一人となっています。脳は,哺乳動物の様々な器官の中で最も複雑な仕組みを有し,脳機能の遺伝学的解明は近年注目を浴びている分野です。 ヒトを含む霊長類の脳は急速な進化を遂げたにもかかわらず、その脳発現遺伝子の進化は緩やかに進行したとされ,さらに種によって進化の速度は異なります。 ヒト,霊長類,マウスの脳遺伝子を比較することで、その理由の解明の糸口となることが期待されます。
論文中に掲載されているカニクイザル脳 cDNA遺伝子配列は,アクセッション番号 AB170063-AB174733 として、DDBJ から DDBJ/EMBL/GenBank 国際塩基配列データベースに登録・公開されています。 データは anonymous FTP 一括取得,または getentry で取得することができます。
- Rate of Evolution in Brain-Expressed Genes in Humans and Other Primates
PLoS Biol. 2007 February; 5(2): e13.
(Published online 2006 December 26. doi: 10.1371/journal.pbio.0050013.) - データ取得方法
anonymous FTP 一括取得 ファイル名:
Macaca_fascicularis_PRI_061209_1.seq.gz
getentry - 参考
QF base (カニクイザルcDNAデータベース) Macaca fascicularis cDNA database
Institute of Molecular Biology, Academia Sinica, Taiwan
Department of Ecology and Evolution, University of Chicago, USA
独立行政法人医薬基盤研究所 JCRB遺伝子バンク
国立感染症研究所
東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカルゲノム専攻
Department of Life Science, Chang Gung University, Taiwan
Division of Molecular and Genomic Medicine, National Health Research Institute, Taiwan