第19回 INSDC meeting report 2006年5月15-17日 米国ベセスダ
2006
第19回 INSDC meeting report 2006年5月15-17日 米国ベセスダ
DDBJ, EMBL-Bank/EBI, GenBank/NCBI で構成される International Nucleotide
Sequence Database Collaboration (INSDC) は,
国際塩基配列データベース共同構築事業の運営・推進を図るために、
年1回、会議を開催しています。
2006年は NCBI のあるメリーランド州ベセスダで5月15日-17日に開催され、
DDBJ からは5名のスタッフが出席しました。
DDBJ, EMBL-Bank, GenBank が それぞれの活動について 年次報告を行った後,
INSDC 運営上の実務的な問題を討論しました。
会議の報告を以下に まとめました。
検討事項と今後の課題
- 利用に制限を伴う配列登録
- 登録者の法的な権利, 商業権などと関連する利用制限は, 配列の利用に際し制限を設けないという INSDC の基本方針に抵触するため, これを認めないことを確認しました。
- 登録されない配列
- 論文に塩基配列を利用した結果が公表されているにもかかわらず, INSDC から配列を取得できないケースがある, という問題について, 科学雑誌の論文著者, あるいは, 編集者に連絡を取り, INSDC への配列登録の重要性を再確認してもらうことで一致しました。
- INSDC ホームページ
- 2005年にINSDC ホームページ //www.insdc.org を立ち上げましたが, そのコンテンツの拡充を図っていくことで一致しました。
- INSDSeq-XML
- 2003年から検討を重ねていた共通の XML フォーマット, INSDSeq-XML に関しては, 2005年から形式データを試験的に交換していました。この結果を受けて, 3つのデータバンクに共通のフォーマットとして提供するべく, その DTD などの仕様の細部を検討しました。
- locus_tag
- 2003年からゲノムプロジェクト用に feature 継承のための識別子として /locus_tag qualifier を使用可能としておりました。当時は locus_tag に自由度の高い記載を許可していました。2005年から, 将来的にもデータベース全体を通じてユニークな ID としての機能を維持していくために, 登録時に個有の prefix を割り当て, 共有する枠組を検討しました。本年度中には稼動する予定です。
Feature と Qualifier の改訂
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アミノ酸残基の略号 “J” と “O” を新規に追加
- 1) Pyl (O); Pyrrolysine
- 天然にコードされている22番目のアミノ酸として, pyrrolysine が発見されました。JCBN IUBMB-IUPAC (the Joint Commission on Biochemical Nomenclature of IUBMB and IUPAC) は, このアミノ酸略号に Pyl (3文字表記), O (1文字表記) の使用を推奨していくと合意しています。
- 2) Xle (J); Leucine or Isoleucine
- leucine と isoleucine を実験的に区別できない場合のために,
アミノ酸略号として, Xle (3文字表記), J (1文字表記) を使用します。
そこでアミノ酸残基を示す略号として, 下記を追加します。
省略形 1文字表記 アミノ酸の名称 Xle J Leucine or Isoleucine Pyl O Pyrrolysine 今後, CDS feature の translation qualifier に示されるアミノ酸配列に, “J”, “O” を含むことがあります。
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repeat_region feature において /transposon と /insertion_seq の2つの qualifier が記載可能でしたが, 下記の要領で /mobile_element qualifier に統合します。
書式: /mobile_element="<mobile_element_type>[:<mobile_element_name>]" 例: /mobile_element="transposon:Tnp9"
<mobile_element_type>は以下から規定値の何れか1つ
- transposon
- retrotransposon
- integron
- insertion sequence
- non-LTR retrotransposon
- SINE
- MITE
- LINE
- other
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source feature で由来分子種を示す /mol_type qualifier の規定値に “viral cRNA” を追加します。
viral cRNA の定義: マイナス鎖 RNA ウイルスが子孫のゲノムを産生する際に生じるプラス鎖の鋳型
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/EC_number 記述のチェックを厳密化します。
また, 正式番号が未割当なケースを明示するため, “n” (new の頭文字) を使用可能とします。
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/PCR_primers qualifier で示される配列に修飾塩基 (i.e. “i”; inosine)を記載する場合, “<” と “>” で括る必要があります。
例: /PCR_primer="fwd_name; hoge1, fwd_seq;cgkgtgtatcttact rev_name; hoge2, rev_seq;cg<i>gtgtatcttact"
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location の記載規則が, 若干変更されます。
「 (m.n) 」が使用不可になります。